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◆ 回想MEDクラブ | 2009/10/14 (Wed) |
オリンピックの選考会直後、石原知事は無念の涙を流したらしいが、同時に彼の発言で国際的な波紋を起こして批判を浴びて終了した。都知事の頭は未だにバブルの余韻が漂って、都民感情からかけ離れていたと思う。国民は、開催国になるのは無理だと思っていた。誘致に携わった人々は“オリンピック開催”を名目に、散財して楽しんだと思うが、多くの国民は近い将来訪れる貧困に対して心の準備を始めていて、オリンピックに沸く心境にはなれなかったと思う。政治家を始め、特にマスコミは、バブルを煽る習癖があって、まだまだ頭の切りかえが出来ていない。今度は広島、長崎が名乗りを上げた。今やオリンピックは、巨大な商業としてのイベントなのに、貧乏な国の都市、広島・長崎での開催を公言する感覚は理解出来ない。「オリンピック=平和の祭典」は昔の幻で、今や桁違いの大金を生み出し食い潰す怪物なので、来期の国の税収が予算を割る貧困の日本には、似合わない。そんなモンスターの誘致を唱えるより、国を、地方を、企業を、家庭を、個人を立て直すことが先決だと強く警告したい。人気者・石原都知事という老政治家が下した政治的判断も、結局は無理なことに執念をかけただけの結果となり、日本の傷口を広げた。アメリカの誘致活動費は65億円。日本は150億円と発表したが、精査すると200億円を超えると思う。しかも、オリンピック開催を前提にした関連工事費を加えると数兆円を超えるとみられている。私自身は、石原知事に憧れた世代だが、この散財ぶりは民間経営であれば断罪に値する。地方自治が叫ばれる時代だし、地方のトップも正確に足元を見つめて欲しい。勝つか負けるかやってみるまで分からないことに、税金をかける幼稚さ、情勢分析の甘さに猛省を促したい。 鳩山氏が「温室効果ガス25%削減」を宣言したときは、経済界・マスコミ・評論家が競って猛反発したが、国民の予想以上の支持率が浮かび上がった。日本国民の意識は健全だった。各論になると“エゴ”がでるが、国民全体の総論として、多少貧しくなっても地球を守る選択をする勇気があって、良かった。この勇気があれば、“日本再浮上”の底力になると思うが、今の日本の技術と経営者の力量では多難で、とても険しい道となると思う。 先月はフィリピンから、お客があったが、今回はアジアを拠点に、カンボジアで仕事をしている方と会った。加えて上海で仕事をしている人とも会った。インド・中国・フィリピン・ベトナム・インドネシアと話が増えだした。私が技術開発を進めているダイレクト膜による“雨水の活用”は、小額の投資金で誰でも取り組める、ローレベルの仕事なので、彼らに薦めている。数年後に「ASEAN統合」が迫っているので、足場を固める為にも、成長産業を育てる必要もあるので、準備を始めている。 グローバル経済のお陰で、企業が生き残るには“巨大化”しかないので、“隙間ビジネス”を考えると、小資本でも大企業と互角に競えるビジネスがあることが見えてくる。海外で必死に働く彼等の言葉には緊張感が溢れているし、スピード感がある。同時に、私たちのような零細企業の方が、大きな会社より行動力があって新鮮に見えるらしい。その彼らから言わせると、アジア各国の成長のスピードを日本と見比べると、日本は、ワーストから見て北朝鮮の次に悪いらしい。国内のビジネスは、老化現象と閉塞感に支配され、元気がない。大企業は自民政権と政・官・財の丸投げで、バブルの中を泳いで成長してきたので、税金という食い扶ちを無くすと、行き場を失うのが現状だと思う。 今回の仕事は、カンボジアでの歯医者や製薬などの医療関係においての水に困って相談に見えた。現地の水は硬水で、加えて汚染がひどく、直接治療に使えないので大変らしい。錠剤や薬も、軟水でないと効き目がないので、現地の硬水を軟水にすることを希望された。軟水にするには、イオン交換樹脂が必要になるが、現地価格は高い。この分野は韓国・中国・台湾の独占場になっていて、日本の大企業にとっては“小さな仕事”なので、参入はしていないし、今更参入できる余地さえない。カンボジアは日本のODAの力で再建を果たした国で、日本に対する信頼感は絶大らしい。しかし、現地にある水関係の日本企業は、ODAが絡んだ大型プラントのプロジェクトしか反応しないし、公金に群がっているだけで企業力は落ちている。私は日本企業では珍しく膜を導入し、イオン交換樹脂を扱った装置を提供している会社で、ポータブルな装置からプラントまで何でも来い!の会社である。加えて私の一存で決める為、次への動作が素早い。 今、世界で一番元気な地域はアジアで、この傾向は続くと思う。世界で一番の経済大国を狙う中国よりも、カンボジアの成長率は10%と高いらしい。中国は何度も訪れて成長の様子を肌で感じているので、不思議と脅威には感じられないが、中国の欠点も知っているので、上手く立ち回れば共存出来る。日本の技術を当てにしている一面もあるし、彼等は自身の限界も良く承知しているので、中国の傲慢さは自然が調整してくれる。水不足と黄砂の猛威、環境汚染の深刻さが加わって、成長があっても住めない国になっては何もならなくなる。 中国をライバル視するより、製造の下請の大会社と思って上手く使わないと共存するメリットはない。彼等が高度に成長すればするほど、困る問題も増えるので、我々が学んで来た経験と知識を生かして導いてあげれば、素晴らしいパートナーになれる。中国の製品を買い、そこに日本の緻密な改良を施し、それを中国に提示することでお互いに必要な存在になると思う。アジアは、猛烈に「発展し続けるパワー」と、日本のように成熟して「発展の格差を補う環境・感情という人間技術」とに、二極化して、今後も成長して行くだろう。日本の物づくり、生産技術はここ10年が限界で、ものづくりでは生きていけなくなる。残る技術は、漠然とした環境技術と医療に絞られて、人間が絡む産業しか伸びないと思う。その他は“低位安定状態”が保たれれば最高だと思っている。「生産と破壊」・「環境保全と生命の調和技術」この両方が、競い合って発展すればアジアに期待が持てると思う。 23年前にサンディエゴで「MEDクラブ」と言う医療品の量販店に、1億4000万円を出資した。当時としては画期的な、“医療薬品も売るホームセンター”が誕生した。医師向けにモルヒネさえも購入できる店舗だった。その為、規制も厳しかったのか、数年して倒産し、私は全財産を失った。しかし、このビジネスプランは既に日本でも定着しているし、「MEDクラブ」のように薬剤師だけでなくお医者も揃えるなど、もっと安心で、ハイクオリティになって何れ台頭してくると思っている。 カンボジアのお客に、“医療向けの高度な治療水”を販売する案を提示した。当社はEDIと言って、電気も通さない超純水の製造装置を造れるので、タイあたりに生産基地を設けて、病院向けの治療水の宅配業を考えるのも案だ。この治療水のルートに、軟水を造るイオン浄水器を販売して会員制にして日本の医薬品を宅配するビジネスを組み込むとビジネスになると思う。10日の夜に日本で一番大きい処方箋の会社の会長と会い、薬の輸出の打診をした。会長の意見はお金だ。資金が無ければ何も出来ない。水の装置を売ってルートが動きだせば協力はするという内容で、詳細に状況を調べて報告をしてくれと言われた。カンボジアは国内情勢の影響もあって医師も少なく、日本の若手医師が進出を考えていると聞く。日本の医薬品は信頼感が高いので、穴場かも知れない。隙間的な国際ビジネスプランが出来ると思う。薬のビジネスは政治が介入するため難しいので慎重に進める。サンディエゴで一度は敗れたが、水の装置で実積をあげれば「アジア版・MEDクラブの開業」も夢ではないと思う。私はこの仕事に1000万円ほど拠出して、資金が1億円ほど集まれば、展開は速まると思う。 福岡から何度も問い合わせがあって、ホームクリーン装置を買いたいとメールが届いていた。会っていない人には売らないルールになっているが、水質分析表を送ると言われてラフな見積書を送った。内容は、本体価格65万円、送料5万円、出張費2名分は当社が負担する。客先は、エコキュートが使えること、畑に囲まれているので、農薬を除去したいと条件を示された。エコキュートを円滑に稼動させるには、硬度を50以下にする必要がある。農薬を除去すると言っても何が混入しているのか分からないので、月に4000円の塩代と活性炭の交換を半年か一年に一度必要だと説明すると「思ったより高いので検討する」と返事が来た。農薬を取り除く技術は、日本では生物処理を加えてRO膜処理か、UF膜と活性炭の濾過しかない。活性炭も吸収量に制限があって、交換は当然のことだし、エコキュートを使うには、最低時間500リットルの浄化能力が必要になる。よって括性炭も大型になり装置は高くなる。島根からも120を超える色度の改善の話も来たが、この条件も難しく御断りした。断るのも大切な営業だし、無理はしたくはない。技術から見れば、我々の実力を確かめたいので、全て取り組みたいが、断って休むのも仕事なので、今後も慎重に対応して行く。世間は急速に景気が悪くなっているし、難しい仕事は一時棚上げを考えている。当社の販売方法は、遠くても来て頂いて、当社の意向を理解された人に限って販売する形を維持したい。愛知県岡崎の方もはるばるつくばまで来ていただいた。色度50もある方で、様々な方法で浄水する装置を見てもらった。 カエルの養殖用に装置を買いたいお客がいて、テスト機を貸してあげた。生き物を扱うのは、浄化すれば済むという問題ではないので、断ろうと思っていた。先方は是非買いたいと言って来たが、現場は乗り気ではないので、売るか断るかを決めたいので、一度訪問する。 東京にある湯葉の老舗から浄水機を頼まれて製作した。その後、音沙汰がなかったが、水が当初より悪くなった為、急遽事務所に見えた。更に、数ヶ月後にはもっと流量が必要になると言ってきた。水量が増えれば、膜も大型、配管も径を大きくなるので、全てを改めて水野が夜遅くまで働いて時間5トンの大型装置を造りあげた。採算は無視し、我々のプライドで制作した。注文に当たり何度も足を運ばれたし、断われなかった。予算が大幅に変更すると交渉人の判断では解決しきれないので、我々の一存で誠意を見せた。 岐阜の代理店から、今期利益が出たので、膜を300万円で仕入れたいと言って来た。この大変な時に投資をする勇気に応えるために、当社の技術を全て開示して、パートナーシップとして関係性を格上げする。 11日の朝早く、コンテナの内装リフォームの打ち合わせを行って直ぐに、製薬会社の研究者宅に二次工事と配管の洗浄に同行した。在庫の関係で2件とも日をあけてイオン交換樹脂の設置を行ったが、“膜と活性炭のみ”の一次工事の段階で「水が違う」と、大好評だった。続いてつくば山の麓にある広大な豪邸への装置の納入工事に立ち会った。この方はお医者さんで、臭いもとれて大満足だと喜んで頂いて、「どうか川手さんの会社が潰れないようにして欲しい」と頼まれた。水の仕事は素晴らしい仕事だと思う。お金を貰って喜ばれて、これほど恵まれた仕事に感謝する毎日だ。ビジネスの世界は一面冷淡で儲けが全ての世界だが、私は古い人間だし、難波節で、大阪人の気骨で常に体当たりして、この仕事を切り開いて来た。今後も信念を持って仕事を展開して行きたいと思っている。水野、麻衣子、上田と若手と一日を同行させて貰ったが、機敏に動いて素晴らしかった。この自己中心の時代に、身軽にひたむきに挑む態度に輝きを見たし、上田君も早く自立し小さくても会社を持つ気概を持たせたいと思う。 |