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◆ 「水と太陽」の展開 | 2009/12/01 (Tue) |
Canonのカメラを購入した。本当は、パンフレットをつくる為に、最上位機種を買いたいと予約までしていたが、中国に出張する予定が早まり、「5D MarkU」に変更した。購入した後、テストを兼ねバラ園でテスト撮影をした時には、順調に稼動していたが、中国でいざ撮影すると “エラー表示”して、全く動かなくなった。後にインターネットを調べると、買って間もないのに、シャッターが原因で動かなくなった事例が数件報告されていが、・・・写真の撮れない、重いだけのカメラを背負ってまさに“泣きっ面に蜂”だった。仕事にならなかったので、Canonに事情を説明したが、修理を勧めるだけで取り付く島がなかった。デジタルカメラは日本の誇れる技術の一つたが、トラブルに対しては会社の対応も“マニュアル通りのデジタル化”で味気なかった。最近、日本の劣化が目に余るが、Canonは大企業だが、軽すぎて、大手ならではの良さと奥深さは消え、硬直している。二度とない瞬間を収めるカメラを売る大手の会社とは思えない対応だった。 最近、水野がカンボジア向けに「手動式膜浄水器」を作ってくれた。前々から考えていた装置だ。これがあれば、ホームクリーン装置を購入したい人に、直ぐ家に出向いて、配管工事なしで浄化後の水を体験してもらえる。お客は、「当社の浄水器でどれほど浄化できるのか知りたいので重宝すると思う。 災害対策用にも考えていて、停電時に、このようなアナログ製品は、活躍出来ると思う。日本の成長産業を考えても、急場に応えられる案件はないが、当面は、 “輸出”に依存するしかないが、“太陽光発電システム”が伸びる可能性が高い。来年にも、新潟、堺、神奈川に太陽光発電所が完成する。新潟は300世帯に供給するプロジェクトだが、石油関係の会社が生き残るために、このビジネスに参入している。 “太陽光発電事業”が、果たして競争力がある産業になるかと思うと、甚だ疑問でだと思う。ガソリンスタンドも一時は全国で6万軒あったが、今は4万軒を下回り、数年後には2万軒に激減する。今後、石油使用量は40%以上も減ると予想されて、来年4月には、石油業界も新日本、日鉱が再編されて、合理化し、環境と太陽光発電に重点を移すと聞く。私自身も、この流れは、時代の推移として“注視”しているが、私は、別の形で見ている。 今、私もこの分野を調査し、自ら導入し、販売方法の構築を始めている。私のビジネスモデルは、政府の補助金を当てにしないビジネスだ。国家予算が借金の中、政府には頼れない。自立が一番だし、独立型の太陽光発電を普及させた方が仕事になると見ている。つまり、1kWから2kWの小規模な発電を考えて節電の意識改革から始める節約ビジネスでないと仕事にならないと思っている。都会の生活が厳しくなり都心の住宅を売って田舎暮らしを考える人も増えている。私も東京の新宿に長年住んでいたが、今はつくばと浦安の街を行きかって生活をしているが、断然、田舎生活の方が楽で快適である。 福島県双葉郡川内村に、建築家の方が独立型の太陽光発電システムを実践されている。見学に出かけたが、山の奥で、多分、普通の人は住めない場所だった。太陽光発電を使って自給自足の生活をされていた。今回、私が購入したのは、バッテリー6台、150Wのパネル6枚だが、独立電源で、どれくらいの生活が出来るのかを実際に試すためだ。現地で使用しているのを見ると、使える確信を持った。ソーラーパネルを2枚とバッテリー1台あれば蓄電すると、十分井戸ポンプが稼動するし、この規模であれば、当社の膜装置と組み合わせて使えるので、災害時でも充分、井戸水を濾過できる。都会の生活を考えた時でも、マンションのベランダに設置して蓄電しておけば、停電が起きても、小型の冷蔵庫くらいは使える。普段の生活に太陽光発電を取り入れることで、電気依存の生活も、多少変化する意識が高まると思った。災害が起きたら困るのは、“食料の保存”で、小型でも、太陽光発電によって冷蔵庫が使えれば、飲料水を含めて、3日分の食料は備蓄できるし、大きな“備え”になる。一軒家の場合、3〜5キロの発電をするのに、補助金を入れても、200〜300万もかけて設置するというのは、今のご時勢では、現実的に厳しい。バッテリーをうまく使い、300Wくらいの蓄電ができれば、結構大きな力になる。私は、この規模の太陽光発電をユニット化して、膜浄水器とセットにして、災害対応型の装置として100万円を切る価格で販売出来る装置を開発したいと思っている。 マイケル・ジャクソンの「This is it」という映画を鑑賞した。かなり話題になっていたが、私は目が悪い為、洋画は字幕が読めないので苦手であった。テレビ番組で、スーパースターの生き様がドキュメント風に描かれていると言うので、思い切って見に出かけた。これがとても感動した。彼の急死の原因に、眠れずに強い睡眠薬を服用していたことが報じられたが、リハーサルの様子も命がけだし、これでは体が持たなかったはずだと実感した。私のような小さな会社を経営するだけでも、アイディアをまとめて製品化を成し遂げるまでは、中々寝付けない生活が続く。ロンドン公演に再起をかけた執念が随所に見られたし、命をすり減らすような彼のダンスは強烈的だった。今回、私達が開発する手動式の浄水器も、私の中では小さな執念の開発だ。仕組は簡単だが、優れた技術が集まっていて、実現する可能性は高い。しかし、ビジネスは“売れて何ぼ”の世界で、小さな世界だが、勝負の連続になる。 私も水野も、ポンプをどのレベルにするかがポイントだった。水野は取引先の川本ポンプ製を選んだ。水野は、手動ポンプで、膜や活性炭をスムーズに通過するかを心配したが、これも上手く行った。1台を試作して、軟水化用の樹脂と、圧力タンクを加えると、見事な“アナログ式浄水器”が完成した。他人から見ると、開発は地味な行為で見えないし、馬鹿な仕事とおもわれるが、製品化には、全てが本番並みのリハーサルで、細かい工夫がないと成功はしない。我々は、小さいがエンターテイナーとして、生きているし、常に新しいものを生み出して積み重ねをしている。その活動でないと、会社も仲間も生きてはいけない。評論家は、口先で円高を嘆き、景気の悪さを論じているが、何も生み出していない。私達零細は常に何かをあみ出し、市場をこじ開けないと、死を意味する。このままでは、日本の未来は危険が一杯で、馬鹿げた開発でも“しつこく”やる会社に育てている。 装置を、福島県の太陽光発電見学の際、持参した。一見、「電気のない場所で、水をろ過して飲料水に使う事」は、ごくありふれた目的だが、実際に自給自足している人から見ても、“あたり前”なのか、この装置をみて反応を知りたかった。私たちの場合は、「電気がないなら、手動ポンプで水をろ過すれば良いじゃないか」という短絡的な見方を、ついついしてしまう。事実、電気もなく、安心して飲める水もないという生活をした人の視点から、今回の“手動式浄化装置”にどんな感想を持たれるのか聞きたかった。 高速のインターから下りて、山中を迷いに迷い、道なき道を辿って目的地に着いた。今回訪問した目的の一つに、「今日の生活スタイルを捨て、新しい生き方を求める人の美意識」を見つめて、“より生活に近い開発案件”が沸く思いがあった。私が考える“開発”は、日常生活をより便利に、かつ豊かにする製品づくりだと思っている。効率を競うだけの製品開発は限界に来ていて、“浪費と消耗”に近いと思っている。日常生活がもっと厳しくなっても役に立つような“生活重視の製品”の開発が、成熟社会の開発だと思っている。人間が、とりあえず“自分の身の丈”で生きてみようとする意志を支える必要最低限のものを補う形で、開発すれば、無駄な競争も生まないと思う。 山道に迷っていた時、あるおばあさんに道を尋ねたが、その方の家の前に湧き出た地下水を見たが、今回開発した手動式の膜浄水器で濾過すれば、より安全な飲料水として使える。訪問する女性は5年間、山の中の小さな木造の家に住んでいた経験があって、その奥さんが言うには、人間は“水と薪”があれば、生活できると屈託無く話してくれた。現代の日本人にはまったく、この逞しさが欠けている。 話がマイケル・ジャクソンの映画に戻るが、アマゾンの環境破壊をテーマにした曲があったが、この歌はすばらしかった。ここでも水が生命の源だった。私が、偶然、生業に「水と太陽」の仕事を選んだことも素直に嬉しかった。 電気も水もない、自給自足の生活が報道されて、静岡から太陽光発電一式を持って訪れた人がいたらしい。それまでの“ローソクとランプ”の生活の中に、初めて40Wの電球が点り、その明るさは、今でも忘れない感動で、見も知らずで、独立型の太陽光発電導入を始めたようだ。今の日本で果たしてこの生活が現存するのかはわからないが、私はこの感覚が理解できる。今でも世界の50%の人々は、電気が全く無い形で生活しているし、水にも困っている人が大勢いる。日本で売れなくても世界で水と太陽の仕事が売れるので、後輩のためにこの仕事を育てたいと熱望している。 今回、手動式浄水器を使ってもらったが、直ぐに使いたいと言った。この装置は、12月にカンボジアの電気の無い場所・医療施設の手術用に使ってもらえるよう製作していたが、彼の熱意に負けて置いてきた。彼等の感覚を直に見たことで、この装置は売れると思ったし、人間が生きていく最低条件を満たす開発の一歩が見えた。後は改良を待つだけで、少し、峠を越せたと思った。 帰って直ぐに、インドの関係者から、排水用の平膜装置を買いたいというオファーが来た。世間中、不景気な話が増えているが、ネパールの学校向け装置の発送も間近に迫ってきたし、カンボジアでの現地視察のスケジュールも決まった。インドの仕事も、相手先の技術者が、当社を訪問することになった。また、中国の西安から、我々の装置と産総研の開発した装置を販売するというプロジェクトの打診に来る予定もある。しかし、これらの動きも胎動の一つで、直ぐにはビジネスにはならないと思うが、種を植えなければ芽も出ないので、根気よく、無駄を覚悟で種をまいている。 ドバイの崩壊がいよいよ近い。5兆円の債務の延期が伝えられて欧州の銀行が“ドバイ・ショック”を受けたらしい。日本のゼネコンも、余波どころではなく、直撃を受けることになり、影響は図り知れないと思う。ドルも84円を記録し、数ヶ月したら80円になるだろう。歴史の流れ方が早過ぎて、月日の流れも速い。大荒れの世界が迫って来る。12月は短い忙しい月になるが、新たな種を撒く準備を始めている。その一つに膜を単品で小売を始めたい。つくばで第1号のアンテナショプを洞峰公園沿いに店舗を開店する。この計画が順調に進めば全国展開を始めたい。詳細は次号で計画の概要を示す。 |