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◆ 準備作業 | 2003/08/29 (Fri) |
私の個人的な性格から、物事を進めるうえにおいて周到な準備をしてから、仕事を始めている。 常日頃からいろいろな角度から、アイディアや開発の方法を考えているので、日々刻々と物事を進めるにおいて変化が生じる。 誰しも私と仕事をした人は経験があると思うが、必ず最初は問題点を挙げ、断る方向で営業を進めている。 なぜ断るような言動を発するかというと、井戸水の浄化の仕事は水道水の浄化と異なり、自然を相手にする、非常に問題の多い難しい仕事の一つであると思っている。 つまり、天候の影響や地下水の流れの変化、近接の工事の影響等で水質が大幅に異なるという不可思議な自然を相手にする仕事なので、簡単にお金を払えば浄化が完成するという簡単な仕事ではない。 上水道の浄化においては、河川から取水して広大なため池で空気を送ってバクテリアの力を利用し、凝縮材を使って沈殿ろ過したり、活性炭で臭いをとったり、一応の前処理をした水を使うので比較的安定しているが、地下水は生の水をポンプでくみ上げて浄化する方式をとるために、常に変化に対応できる浄化システムが必要になる。 そのために、従来はマルチメディア、つまり4層から5層の粒度、性質、形状の異なった砂や石やろ材を組み合わせてろ過をし、化学物質や汚染物質の除去のために活性炭のフィルタを使う位が浄化の方法であったが、酸性雨の影響や都市も田舎も開発が進み、山や樹木の減少、コンクリート化等で土層による水の浄化作用が不足して、汚染された地下水が増えたりして高度な井戸水の浄化技術が必要になってきている。 以前、私はその井戸水の浄化で2度程失敗をした。 私が井戸水浄化設備の仕事を引き受け、滋賀のホテルの井戸水浄化の仕事に失敗をし、残りの200万円を受け取ることができなかった。 飲料水の水質基準ではOKであるが、水の色がどうしても透明にならなかったのだ。 もちろん、純水設備を入れて、水質がどのように変わるかテストをしてみたが、これは完全にOKであった。 しかし、あまりにも汚い水のためにすぐにモジュールが詰まってしまい、ランニング費用も大きな浄化コストの面から重要な役割であるので、あまり高度な設備を提供することも問題になる。 また、北九州の透析病院の水の浄化を引き受け、非常に安い価格で浄化の仕事を請け負ったが、ここもガスが噴出してとんでもない水質に出遭い、ここでも技術的な問題にぶつかった。 しかし、この病院の院長は50パーセント程度の浄化の成果が上がっていないのに、文句も言わずに私達の会社に分割の金額を支払ってきている。 さらには、次の拡大の時に当社の製品を再度購入するという連絡も受けている。 この2つの失敗の原因から、大型のUF膜の開発に着手し、今日まで非常に過酷な状態をあえて避けず、テスト販売を続けてきたが、当初の予想に反して非常に素晴らしい成果が得られた。 8月28日の日に、3ヶ月ほど前からガスが噴出してコーヒー色の泥水が出る井戸水の浄化を依頼されたが、慎重に今までの失敗と成功のバランスを考えて、着々と準備を進めてきて、現場実験に臨んだ。 ほんの1時間ほどで、真っ黒になって、UFフィルタが詰まり、各種のフィルタが汚染されたが、使える水のめどが浄化されるという予想したとおりの成果があった。 これからのビジネスは、不可能を可能にする技術と経験、そのことがビジネス社会を乗り切れる1つの方法であるし、常に新しい技術を投入して、総合力で問題点を解決する以外生き残れないので、全力投球して技術革新にまい進しているが、販売の面においては自然との闘いで、簡単なことで井戸水の浄化はできない、このことを客先に確実に伝達して、慎重にお客を選び、ビジネスを進めたいと思っている。 また、井戸水の浄化は、イオン化された鉄マンガンの除去、硝酸性窒素、色度、濁度等の問題を確実にクリアする上において、最新の技術と経験が必要になる。 つまり、安い値段でこの種の問題が解決できればいいのだが、安い設備では除去することはできないのである。 最近、殺菌水について少しずつ述べているが、電源、電極部を購入して純水で殺菌水を作る準備を進めている。 海水を電気分解してNaOCl(次亜塩素酸塩)を作り殺菌する方法や、軟水器を使ってNaOClを作る方法があるが、当社は超純水を使って電気分解をし、約6000ppmから1万ppmの濃縮されたNaOClを作り、殺菌水を濃縮瓶詰め方式にして販売しようと考えている。 つまり、危険な塩素を使わず殺菌処理できれば、非常に有効な生産殺菌水が生まれることになる。 簡単なマーケットの例に、漬物屋さんの生産について挙げてみよう。 健康志向のために減塩生産が求められた結果、野菜に付いている大腸菌等の菌が漬物の壷の中に繁殖し、大きな問題になっている。 殺菌水を利用すれば、この種の問題が解決できるかもしれない。 身近な生活の例なら、洗濯機。 その中は大量の菌で汚染されているが、濃縮の水をキャップ1杯投入することによって菌を除去できれば非常に簡単な殺菌法になる。 学校の給食設備や、レストラン等の調理場の殺菌に使えれば、非常に安全で使いやすい水殺菌が生まれることになる。 こうした新しい技術を投入することによって、大型のUF膜の殺菌、洗浄等にも有効な方法になる(とりあえず、汚染されたUF膜を塩酸で洗ってみたが、非常に効果があった)。 近々、NaOClの殺菌水で同じ効果が出るのか、テストをしてみるつもりである。 私達はこのように、営業で納入するお金をいただく最後の手段のために、延々と砂をかむような思いで開発を進める必要がある。 私の立場は、指示をするだけ、アイデアを考えるだけ、現場の人間は私の考え方を増長して実機に応用していくのだから、大変な作業になる。 暑さがぶり返してきた最中、若い人達が懸命に開発に取り組んでいる姿を見た時に、ますます新規分野にチャレンジして水のビジネスに勝ち残れる実力を表現したいと思っている。 超純水設備や、大型UF膜の開発、電気分解を使った安価な殺菌水の製造装置の開発、他社は最低400万から900万位で販売しているが、私は200万を切る装置を作る自信があるので、ここ数ヶ月の上で新しいビジネスの開発のめどをつけたい。 9月には大手に超大型超純水設備の納入を行うが、10月頃には新製品が少しずつ頭角を現し、下準備の殻から成長軌道に乗せていきたいと思っている。 |