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◆ ソーラーエコキュートのその後 | 2012/08/16 (Thu) |
消費増税法案が採択された。ビジネスも生き方も大きく変わると思う。大騒ぎしたが、オリンピックでかき消され、政策論議も採択の形もフェアではなく、3党合意案という名の元に仕組まれた“ルール無視法案”で、世論の声が封じられて決まった。数年後、益々国が衰退して、増税の痛みが骨身にしみるような社会が訪れそうだ。野田首相が、記者会見の冒頭で国民に詫びたが、本心から謝罪しているようには見えないし、口だけ達者なペテン師で、最も危険な人物だと言う人もいる。増税自体は、いずれ必要だと思うが、信頼感のない政権に血税を託す国民は哀れだ。 14日、東京の区役所から、災害用の深井戸浄水装置の入れ替えを打診されて現場を見た。時間4〜6トンの砂ろ過から高度膜処理に替える計画だ。入札で決まるが、10インチの限外ろ過膜と、イオン交換樹脂か、RO膜の混合水をつくる企画案を出す予定でいる。 砂ろ過から“膜濾過”に替えるのは、世の趨勢となる。次はダイレクト膜で、ソーラー発電で汲み上げる装置も開発している。災害時にお湯が使える装置も完成間近だ。ホームページを次々と更新しているので、顧客からも「ずい分変わりましたね」と興味を持たれるが、今後は、ヒートポンプを活かした装置を中心にしていく。 川手グループの代理店の友人達も、仕事の幅を広げて、大分では大型の水耕栽培工場、ミャンマーで学校、レストラン、旅行社を設立して、変身中だ。岐阜の友人も、工事と機械の修理と並行し、100kw相当のソーラー発電の仕事を受注して、メガ発電の基礎を築きつつある。 私には、海外にレストランをしたり、ソーラーパネルを施工したり、体力がいる仕事は出来ないので、経験と浄水プラントで得たノウハウを駆使して、『ソーラー式冷暖房と給湯器』の仕事を始めている。この計画に賛同して、つくば、印西市、横浜の顧客、エコハウスの設計氏から購入の申し出があった。早速つくばの顧客に据え付けたが、ソーラーの熱源で賄う装置に注目してくれていて、一時間ごとの昇温の様子を克明に記録して頂いた。結果、予想以上の出来栄えを共有出来て、とても満足している。 銀座の和光に、膜仕様のマイクロクラスター活水器を納入した。和光からは先月、「常連のお客様が、水が美味しいので同じ浄水器が欲しいと言っている」と連絡があった。和光の装置は10年以上経過していて、同じものを一台特別につくると高額になると諌めたが、是非と願われて、特別に製作した。今は、銀座の和光は改装中で、9月にはオープンする。是非、銀座和光のティーサロンに寄れるチャンスがあれば、新しい水を味わって欲しい。マイクロクラスター水の本格的な装置は、日本では2例しかなく、川手グループの自慢の装置だ。 ダイレクト膜の宣伝を兼ねて、八郎潟の農業用水の浄化テストを始めた。東電の友人から、現地の人は本当に水の濾過を望んでいるのか疑問で、JA、行政にPRするようメールで指摘してきた。JAに売り込むべきだという激励だ。農業用水の濾過の仕事は、簡単にはいかないことは百も承知だし、JAも、前例のないような仕事に金は出さない。 日本の地方経済は疲弊し、ボロボロ状態だ。営業活動や宣伝をいくらしても農村で膜濾過装置を買う客はいない。灌漑用水の汚染は全国に及んでいて、解決に金を使うよりも、見て見ぬふりしているのが現実の姿だ。米の品質を上げる為に、水の濾過まで考える人は稀だと思う。品質が落ちて、売れなくなってから真剣に考えるのが日本人の普通の姿で、事前の投資はしない。当社のホームクリーンも、井戸水が飲めない人が購入する。営業で買った人はいない。多分、仲介の方が、農家から水のせいで米が黄色く変色したと相談されて、壮大な話に意気投合し、試しに私にテストを依頼して来たと思う。 日本中、水の専門家も大型の限外ろ過膜の能力を、知識で知ってはいても目のあたりにしている人は少ない。まして、時間10トンを越すMBRの技術などは見たことがないと思う。PRと教育を兼ねて託しただけで、仲介者だけの力では無理だ。時が来て縁があれば私が取り組むし、既に時間12〜20トンの膜を在庫してある。時間3トンを汲み上げるポンプも特注し、近々装置が完成する。JAや行政、地方であっても困れば濾過技術を探すし、我々の情報を知る人も出て来る。儲け話に派手に動くより潜航型が川手流だと思って欲しい。 水処理の、98%が砂ろ過を使っている。東京の区役所が砂ろ過装置を廃止して、大型膜に替える動きが出始めた。当社は大型を含めて膜濾過を数台納入して実積を積んでいる。膜技術は透析治療で医療界でも能力は折り紙つきだし、大型化も進んでいる。時間15トンクラスの砂ろ過と比較すると装置の大きさは10分の1ですみ、濾過能力は微粒子まで捕捉する。しかし、社会は複雑に出来ていて、能力が高くても即採用にはならない。利権の壁もあって、販売とは話が別だ。不況は厳しく、変化を迫っている。小回りの効くのはベンチャーで、追い風が吹きつつある。東京で大型膜が採用されると全国的に波及する動きにつながると思う。慌てる必要はない。 ソーラーエコキュートの設置も無事完結した。水野は見事に、初のソーラーエコキュートの設置と配管技術を習得し、実現した。ソーラーエコキュートの製品は、東京ガスや東電が一部手掛けているだけで、ベンチャーが製造販売するのは初のケースになる。集熱管で温めてタンクに溜める技術は周知で、難しいことではない。 同じ装置を輸入・販売する会社もあるが、地下水が使える装置は今もない。家に据え付ける作業も、水道屋ではないので慣れがいる。家庭毎に配管が異なるし、風呂のお湯はり機能の制御、シャワーの調整、台所など備え付けの部品を活かしながら使う技術が必要になる。どの家庭にもエコキュートやガス給湯器があって、制約も多い。私の仕事は、ガスや電気を使わずに、“満ち足りた生活スタイルを維持しながらの省エネ”を考える仕事だ。 今回、電気のエコキュートを見て、これほど普及した要因を考えた。つくばのショールームにも、井戸水でもエコキュートを使いたいお客が相談に来る。大手企業への信頼感、オール電化への憧れ、中流意識が購買意欲を高め、深夜電力の安さの宣伝を鵜呑みして、「省エネでお湯が沸かせる」と誤解したことも背景にある。3.11の時、停電で給湯器が使えなかったし、考えていたよりも電気代がかかるので“メリット”に疑いが出始めだした。 私の客の大半は、井戸水でエコキュートを使いたい客が中心だ。電気やガスを使わせるビジネスモデルは崩壊すると前から考えていたが、エコキュート装置への参入は規制もあって難しく、諦めていた。電気料金の値上げも、今後も続くし、深夜料金も安いとも限らない。増税が決まり、意味のない高額装置は売れないし、やがてはソーラー給湯器に代わるはずだ。当社は、客が望めばソーラー給湯器も、従来のエコキュートをソーラー給湯器に改造する仕事も請け負う。 少し前に友人から買った家を売る時、太陽熱温水器があること知った。30年経っても、お湯が沸き、夏場だけでなく、3〜11月くらいまでなら、ほとんど電気が無くてもお湯が使えた。単に湯を沸かすだけの安い装置はあるが、日本のエコキュートを扱った客は、より多目的な装置でないと満足はしない。当社には、配管や電気制御、小規模のプロセス技術が備わっている。 数年前からソーラー技術も培って来たが、突き詰めるとソーラー発電だけの事業は、仕事にはならないと思った。売電型で終わってしまうと、量販店も儲からない建築分野に進出しかなくなるし、発展性は見えなかったが、当社の得意分野である飲用レベルまでに出来る装置と、冷温水が使える装置、床暖房にも、輻射パネル冷房にも使える幅広い形にするとソーラービジネスが見え出した。 市販のエコキュートは、使う前日の深夜に沸かし、次の日に風呂などに使う。湯が足りなくなると、手動で追い炊きしてまた電気を使う。節約と思われていたが、改めて調べると不経済だ。この装置が全国で200万台以上ある。電気を使わないで、ソーラー給湯器に改造する仕事を考えても、仕事は無尽蔵にある。この仕事は武藤氏も佐藤氏も出来る。日本では手掛けていない仕事だし、エコキュートを進めた電気会社の力も落ちるので、案外仕事になると思っている。当社の装置を売るより、既存のエコキュートを改造するネットワークを全国に張り巡らせると、大きな仕事になると思う。 横浜で、輻射式冷房装置の冷却テストを行った。興味を持った輻射式冷房のメーカーが立ち会い、テストを見ていたが評価は高かった。ソーラーでヒートポンプを動かす考えに注目したようだ。次は、蒸発パネルの価格だ。恐らく、相手先が話し合いたいのは、輻射パネルの拡販と値下げ案のことだ。私は加齢で、空調は身体が冷え切って耐え難い。友人にも冷風が苦手の人が多い。次に病院のような大規模冷房を考えて、時間1〜3トンの処理能力のヒートポンプをソーラーで使える装置にして、9月中旬に完成する。農業、酪農にも使う予定だ。 消費増税法案が決まり、駆け込み需要が増えると見ている。私も増税対策の為、仕入れを急いで大型装置の実用化を加速させている。今回はNPO法人を使って仕事を始めるが、分社化も急ぐ。分社化の理想は一社1名だ。川手グループとして仕事を分担し、社員を役員にして特性を生かし、変化の時代を生きたい。 |