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◆ 物創りから夢のプロジェクトへ | 2005/11/09 (Wed) |
東大の教授から当社が担当する純水装置の物創り講座の参加希望者が募集定員の倍になったと電話があった。東大も遅ればせに変革中だ。IT企業が株を買い、金が全てを支配する時勢だ。頭脳優秀な人ほど物を生産することの大切さを知らない。お金儲けには物創りの大切さは忘れ去られている。生産会社が必要になれば、会社の株を買えば何の問題もないぐらいの感覚である。生産現場で汚く汚れまくり金を稼いだ経験がないので無理もない。株では従業員の心は買えないし、時代の移り変わりで物創り工場は衰退している。昔は鉄工所が至る所にあった。現在は消滅している。中国に行くと物を作る工場が乱立している。私共は物創りを商いにしているので先行きが心配になる。経済の話題はIT企業に注目が集まっている。楽天がTBSの株を買収したり、ライブドアがフジテレビの株を買い占めて話題を集めたり話題に欠かないが、国民サイドから見れば品格の面からこれらの行為は奇異に見える。彼らが生産工場に資本参加して物創りに力を注ぐ社会貢献をすれば国民の反発はうけないと思う。楽天がTBS株を大量に取得したが、放送業は認可企業で国民の財産でもある。楽天クラスの会社が買収しても馴染まない。株を買う側の理屈は市場に出ている株を買って何が悪いのか分らないと言う。私も自由だと思うが、彼等の行為には疑問や不安があって実態が見えない。自分が汗水を流して稼いだ資金で買うのであれば何の問題も無いが、株を担保に銀行から借入れた資金だし、得体の知れない投資の資金かも知れない。金を転がして金を稼ぐやり方に少し反発心が湧く。私は背後に巨大な勢力が潜んでいて彼等は操り人形にしか見えない。若手の行動を見て同じ世代の若者達が物創りの仕事は馬鹿らしく見えるだろう。TBSやフジテレビの経営者を見ていると保守的で老人感覚だし、若手の優秀な経営者を比べて見ると見劣りすると思うが、古い経営は長く生きているので、自己保身は巧みだし抜け目はない。アメリカでは買収行為は日常的だし、若い経営者はアメリカ仕込みの感覚だし世代の差はあるが、所詮金の亡者でしかない。最近は、アメリカには出かけないが、アメリカとは30年ほど仕事をしている。私自信も騙されて株の投資で数億の金を失った。アメリカのシリコンバレーに友人がいるが、一時期私の会社で働いていたが、彼等の友人達はアメリカの勝ち組に入る。仲間達は短期間で数百億円の金を稼ぐ人もいる。そのべンチャー企業家の自宅に招かれたりしたが、日本と比べて見てまるでレベルが違う。次の日本を支える若手の有望株が銀行を回り、廊下トンビのように証券会社を回り、オイルマネーで有り余った資金を掻き集めてメディアを買う。無の世界で巨額の金が動き、挙って人々がインターネットで株の売買に走る。国も株価を上げる為に、この傾向を助長しているので、物作りなどダサイ仕事には関心が湧かない。このままでは日本は死に体になる。先月ある人と論議をした。知識人で情報も豊かな人で話しが楽天の株の時下総額の話になった。450億円の売上げの会社で株が1兆円の評価である。約80倍の評価になるらしい。通常は20倍ほどだから水膨れ状態。会社の借金が4500億円。常識的に見れば倒産会社だ。しかし、時下総額の評価が高いので倒産会社が優良会社になる。不思議なカラクリである。その得体の知れない仕組みの鐘を担保に金を借りてメディアの株を買う。謙虚さも無いし、後ろめたさも無い。ビジネスだから冷酷さは当然と割り切っている。私はかつて丸紅で働いていた男にアメリカで騙された。その人物の感覚は借金も売りあげと同じだと言って平然としていた。日本は物創りで働いて経済的に成長してきた。古い体質の会社は日本には万とあるが、老人の経営者は株の売買だけでは動かない。TBSは半世紀以上培われてきてある種物創りの企業で人材が会社の価値を決めている。お金で会社を支配しても人々の心は買えないし物創り集団は物創りが好きなので手強い相手になる。団塊の人々が築いた遺産でもある。無礼講に手を出すとやけどをすると思う。日本は先進国では最大の700兆を超す借金大国である。誰が無駄使いをしたのか?良く話題になるが、原因は人間の本能にあると思う。全ての債務をゼロにしても、すぐに本能に目覚めて無駄使いが始まる。軍人が戦争をしたがる習性、政治家が人を騙して権力を私物化する習性、商人が金儲けに走る習性、これは抑えられない。ゴルフの英雄で26億円も稼いだ男がいる。稼げば稼ぐほどもっとお金が欲しくなる。人間の本能は無限で終わりはない。私は3歳の時に広島で被爆を経験した。原爆が600mの上空で爆発したので、その真下にいたことになる。親から聞いた話なので、真偽は別にして木造の建物に住んでいた家の柱が太くて傾いた隙間で奇跡的に助かった。ほとんどの人が大火傷で皮膚がただれ死亡した。被爆手帳を持っていたが、被爆の経験は内緒にしていた。HIVの患者と同様、常に死の恐怖と共存してきた。私は恐怖の生活は通い慣れた道であった。現在、心臓、腎臓、目が病魔に襲われているが、動じず病気と上手く付き合っている。サラリーマン時代、大企業で好き放題働いたが、その分大いに楽しんだ。使い切れないほどの研究費を与えられて、世界中を飛び回わり、豪快な生活を経験したし、組織の中で飛びぬけた待遇の生活をしていた。同じ生活を送ったが、人間贅沢なもので恵まれた生活が苦しくなった。お金が無い時は大変だが、貯まると案外面白みはないと思う。東大の学生達が物創りの講座を開いたり、韓国や中国の若者と新しい仕事考えたりする方が面白い。 11月17日から茨城県とつくば市主催で技術展が開かれる。地元でもあるのでコンセプト装置を展示する。仮称「霞ヶ関透析プロジェクト」とした。この膜装置は大型中空膜を使用している。透析まくと同じ原理で、この膜は分子とイオンは通過させるが、コロイド状の有機物や微細な汚染物質は分離除去できる。処理能力は水の汚染度により異なるが、時間あたり約30トンの能力がある。(30トン×24時間=720トン)約一日720トンになる。720トン×365日=26万2800トンになりかなり膨大な水を浄化できる。例えば100基導入すると×2628万トンになって環境面で効果が大きい。この膜は医学で腎臓疾患の患者に人口透析の名称で使われて最先端の医療技術だ。毒素で汚れた血液を膜で濾過して正常な血液にして体内に戻す。私達は数年かけて膜の材料メーカーと大型の透析膜を開発して、試験的な意味も含めて井戸水の浄化装置を低価格で販売してきた。水が通過する穴径が微細加工なので、水と汚染物は完全に分離できた。日本では大きなプロジェクトは少ないが、去年、韓国の財閥から当社に技術提携の話があった。発電所に使う目的で時間100トンから500トンの濾過装置が製造できるか打診してきた。規模がまるで違うので断ったが、密かに韓国の提携会社と開発の準備を重ねてきた。中国も工業用水が不足しがちで、時間数百トンの大型装置の商談話を聞く、そこで、時間30トンクラスの透析膜装置をこの展示会用に組んで見た。井戸水用に開発した時間2トンの小型の透析装置を販売したところ予想以上に好評だったので、規模を大きくしても自信があった。この膜の特徴は詰まると水を逆に流すと詰まりがとれ、完全に詰まると容器から取り出して殺菌水で洗浄すると復元する。性能、経済性ともに優れた技術製品だ。 夢の話を考えている。国や県の仕事なので、承認がないと出来ないが、私達の水源、でもある、霞ヶ浦を浄化できないか、水の汚染を止められないか?と考えている。霞ヶ浦を人間の腎臓の機能障害に例えてこの透析膜を通して処理した水を湖に返す仕事だ。雄大な話だが、案外簡単かも知れない。中国は黄砂の国でもある。川は細かい砂漠の黄砂で汚れて水の色は霞ヶ浦より汚い。その厳しい環境な中膨大な水量を浄水している。最近は超大型の膜技術が次々と開発されている。我々のような専門家が集まれば低価格で浄化が可能になるかも知れない。可能性をさぐるには一億円の投資で7200トンの装置が10基作れる。勿論、国や県の許認可が前提であるが、約10基からはじめて一日7200トンの水を濾過して湖に戻す。次に水質の変化を調べる。かなりの確率で変化すると思う。霞ヶ浦の水が浄化できれば、環境、観光、漁業、工業等莫大な波及効果が見込める。装置は簡単な仕組みで、現地で組めるので格安になる。一億の資金が集まれば調査を目的にした設備が出来てスタートできる。例えば、1000社が×10万円=1億円があつまる。国や県の予算を当てにせずにNPO法人で実現できる金額だ。テストで有効性が確認できれば、次は商業活動に移れるし、採算性が見込めれば寄付した企業、個人はこの事業に参画してもらえば損はしない。10万円寄付した法人と個人は霞ヶ浦浄化のオーナで株主になる。組み立て据付はボランティアで充分できるし、配管の仕事や土木の仕事も生まれる。失敗しても全てを失うことにはならない。膜を洗浄すれば、他の用途に使えるし、ステンレスの容器ですから腐ることもない。逆に大量に装置をつくるのでコスト競争の装置が完成するので転売は可能で全てを失うことにはならない。成功すれば大変だ、洗浄工場も必要になる。全国に河川、湖、沼、地下水、雨水、いたるところに膜の需要が生まれる可能性がある。全国に膜を売り、洗浄の仕事も増えるし、雇用の場も生まれる。単純作業で熟年の人に向いた働く場が確保できる。大企業が、この仕事を担当すれば、莫大な公共事業になり、莫大な予算と利権が生まれるだけで、成功の確率は低い。NPOを市民レベルで環境の問題に取り組めば家庭排水にも気配りする機運が高まると思う。現在、全国に小型の透析型プラントを販売する準備を始めているが、物創りは捨てた物ではないのです。環境、安全、IT、経済性(コスト)が新しい企業の姿だ。物創りから販売が広がり、環境面で貢献できれば大きな夢に繋がると思っている。 |