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◆ 調査レポート@2006/08/29 (Tue)

 9月3日は防災週間。当社が開発した非常用の浄水機を使って実演する。井戸水で飲料水水質基準の50項目をクリアーする高い目標を示され、8月8日に予備テストを行った。従来のろ過方法では、鉄、マンガン、色度を取るには大掛かりな設備になるので、非常用には不向きだが、当社は水道水の基準値を大幅に下回る最新鋭の膜ろ過装置を開発した。社内で事前に確認テストを繰り返していたので、事前テストは楽々合格した。分析表はホームページでも報告するが、都内の小学校と公園の二箇所の代表的な項目の数値は、色度(基準値:5度以下)が小学校の原水が8度→浄水機を通すと2度未満になった。公園の原水は6度→浄水機を通すと2度未満になった。区の現状の色度は5度以上あるので、飲料では使えない。我々は2度未満で合格した。硬度も小学校で原水74mg/L→ろ過水4mg/L、公園が原水92mg/L→ろ過水8mg/Lに大幅に下がった。この下がり方だと硬度で飲料不可の水も大丈夫だ。工業的にも軟水器は不要になる。鉄は、小学校の原水0.56mg/L→浄水機を通すと0.03mg/L未満で、基準値は0.3mg/L以下。現状では飲めない。公園は原水0.44mg/L→ろ過水0.03mg/L未満と現状では飲めないが浄水機ではOKである。マンガンの基準値は0.05mg/L以下。小学校の原水は0.025mg/Lで合格→浄水機を通すと0.006mg/L、公園の原水は0.05mg/Lでギリギリ合格→浄水機を通しと0.006mg/L未満である。残留蒸発物は、小学校で原水390mg/L→ろ過水50mg/L、公園は原水540mg/L→ろ過水60mg/Lに大幅に下がった。基準値は500mg/L以下なので現状では飲めない。

 当社の浄水機の能力が証明された。広島の呉市で水道管が破損して断水した。日本は、表向きは近代国家だが、思わぬところで脆すぎる。私は台東区から頼まれて緊急災害用の浄水機を開発したが、設計の主眼はコンパクトで大容量にした。昔、アメリカにいた頃友人の会社が名古屋の消防関係にエンジン付きの浄水機を輸出した。その時に、私も色々相談を受けたが、中途半端な装置だった。呉の情報が報道されて心が痛む。生まれ故郷だし、転職した時に、一時期に心底親切にして戴いた町である。私は呉市が井戸水を使う為に、水質分析を始めると言う報道を見て愕然とした。緊急災害用の浄水機がないのだ。私は水野に時間2トンクラスの浄水機を送れないかと相談したが、ポンプを交換すると可能だと返事が来た。報道関係に緊急用の浄水機があると報道をたのんだが、無関心だった。我々は頼まれないと動けない。災害をビジネスに利用していると誤解されるからだ。

 今年の初めに東京大学で、ものつくり講座を開崔し、当社の膜濾過装置を教えた。授業を受けた学生が水に興味を持ったので、災害非常用の浄水機の調査をするように頼んだ。私達は商売がら社会の実像を見る機会が多い。災害が起これば一番に重要なのは水である。水と言うと飲料水を思い起こすが、トイレ、洗濯、お風呂の方が深刻である。日本の代表的な東京はどうか短時間であったが調べて見た。その報告書の一部を発表する。

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川手さん

こんばんは。
メールを送るのが遅くなってしまい、すみません。レポートを添付します。
質問したすべての区から回答がきていないので、まだ不完全ですが、
目を通していただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

1.レポートの概要

監 修: 川手 恒義
文 責: 東京大学・学生
國分 朝菜

 台東区は災害時の飲料水確保のため区内8箇所に井戸を掘っている。区内どこでも半径1km以内に防災用の井戸が設置されているが、これらの井戸水は水質基準項目(50項目)を満たしておらず、今災害が起きても飲料水としては使えない。8つの井戸のうち2つについて純水装置をつけたいと依頼が来た。
飲料水確保のために井戸を設けてあるが今災害が起こっても飲用に使えない、という区が台東区のほかにも23区内にあるのではないか。各区について災害時の飲用水についてどのような対策をとっているのかなどについて尋ねて回り、災害用の純水装置としてどのようなデザインのものを提案できるか考える。

2.23区における災害時の飲用水の確保について

<都の役割>

 23区の水道事業は東京都が担当しており、災害時の飲み水の確保も都が中心となって行っている。浄水場・給水所などにエンジンポンプなどの応急給水用機材を整備して給水拠点とするとともにこれらの施設の無い地域には応急給水槽を建設し、居住場所からおおむね2km程度の距離内に給水拠点を確保するように努めている。

現在23区内にある給水拠点は、

給水拠点 確保水量(t) 給水拠点 確保水量(t)
区立統合元帥記念公園 1,500 区立西六郷三丁目公園 1,500
都立日比谷公園 1,500   区立萩中公園 1,500
都立一橋高校 100   都立都掘公園 1,500
晴海給水所 1,300   区立下丸子公園 1,500
区立あかつき公園 1,500   区立女塚なかよし公園 100
区立堀留児童公園 100   砧浄水場 6,300
芝給水所 26,600   砧下浄水場 700
都立青山公園 1,500   和田掘給水所 20,300
港区防災活動拠点 100   多摩川給水所 20,000
淀橋給水所 24,000   大蔵給水所 13,300
区立鶴巻南公園 1,500   駒沢給水所 3,200
立百人町ふれあい区公園 1,500   区立こどものひろば公園 1,500
本郷給水所 20,000   区立葭根公園 1,500
区立教育の森公園 1500   都立祖師谷公園 1,500
都立上野恩寵公園 1,500   区立中町二丁目公園 100
区立文花公園 1,500   都立代々木公園 1,500
区立両国公園 100   都立第一商業高校 100
亀戸給水所 20,000   区立影丘公園 100
豊住給水所 13,300   区立みずのとう公園 1,500
区立滝野川公園 1,500   杉並浄水所 1,000
区立北運動公園 1,500   和泉水圧調整所 16,600
区立滝野川公園 1,500   杉並浄水所 1,000
区立北運動公園 1,500   和泉水圧調整所 16,600
南千住給水所 33,300   上井草給水所 60,000
区立日暮里南公園 1,500   都立和田掘公園 1,500
三園浄水場 15,600   区立蚕糸の森公園 1,500
板橋給水所 26,600   区立昭栄公園 1,500
都立城北中央公園 1,500   区立井草森公園 1,500
区立城北公園 1,500   区立馬橋公園 100
都立板橋高校 100   区立西池袋公園 1,500
都立赤塚公園 100   都立文京高等学校 100
練馬給水所 66,600   区立霧が丘中央公園 1,500
区立大泉公園 1,500   江東給水所 22,000
区立学田公園 1,500   有明給水所 6,600
区立はやいち公園 100   区立南砂三丁目公園 1,500
小右衛門給水所(注1) 0   都立辰巳の森海浜公園 1,500
区総合スポーツセンター 1,500   区立戸越公園 1,500
区立千住スポーツ公園 1,500   区立しおじ公園 1,500
区立諏訪木束公園 1,500   都立八潮高校 100
区立大谷田南公園 1,500   八雲給水所 16,600
区立北鹿浜公園 1,500   都立林試の森公園 1,500
金町浄水場 95,600   馬込給水所 12,000
水元給水所 33,300   上池台給水所 11,000
区立上千葉公園 1,500   都立大島小松川公園 1,500
区立新小岩公園 1,500   都立葛西南高等学校 100
区立渋江東公園 100   都立舎人公園 100
西瑞江給水所 6,600   区立西徳第二公園 100
葛西給水所 13,300   未定 (注2) 100
都立篠崎公園 1,500 合 計 678,100
区立浮田中央公園 1,500
区立小岩公園 1,500

(注1)改装工事中のため平成19年度末まで運用停止。
(注2)平成18年度に正式名称を決定。

23区内に住む人の総数は、

場 所 総人口(人) ⇒  品川区 336,967 ⇒  豊島区 255,141
足立区 645,700  渋谷区 116,872   中野区 308,284
荒川区 192,064  新宿区 276,756   練馬区 677,814
板橋区 526,150  杉並区 519,222   文京区 182,587
江戸川区 663,433  墨田区 229,099   港区 176,781
大田区 680,099  世田谷区 818,918   目黒区 251,179
葛飾区 440,821  台東区 161,340
北区 316,274  中央区 101,447
江東区 436,815  千代田区 44,745 合 計 8,358,508

約800万人強となった。

給水拠点から水が均等に分け与えられたとすると、

@総確保水量:678,100トン×1,000=678,100,000リットル
A一人あたり平均約3リットル×8,358,508人=25,075,524リットル
B678,100,000リットル÷25,075,524リットル= 27日分の水となる。

約一ヶ月弱の水が確保されていることになる。しかし、一ヶ月もの間給水拠点で貯められている水が入れ替わらないとすると、これは非常に危険だ。応急給水槽の場合、普段は水道の配水本館から直接水をひき給水槽内に常に清浄な水を循環させておくので、水槽を満たしている水は3日間ですべて入れ替わる。大地震のときには両端の遮断弁が自動的にしまり、水の出入りがなくなる。都が用意しているほかの給水施設も同じようなしくみで水をため込んでいるとすると、使い切るまでに水はどんどん古くなっていく。世田谷区の、「災害時区民行動マニュアル」によると、

“水道水を汲み置きするときは、清潔でフタのできる容器に口元までいっぱいに入れてください。直射日光を避ければ、一般の水道水に消毒用に入れてある塩素の効果は3日ぐらいまで持続します。”

とある。都の用意した給水拠点に浄水器のようなものが取り付けられていないとなると、約一ヶ月分の飲料水は飲みきる前に飲めない状態になってしまうと考えられる。(下線部は、インターネットで調べてみたがよくわからなかった。)

阪神大震災では水道が完全に復旧するのに約三ヶ月、八割復旧するのにも一ヶ月以上かかったという記録が残っている。

≪続く...→調査レポートAへ≫