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◆ 転機 | 2006/10/01 (Sun) |
災害用の浄水機の見積書を台東区に提出した。8箇所分である。価格は破格の卸値にしたが、メンテナンスの費用で厳しい交渉が続いている。既存の装置を全て取り代える大掛かりな仕事だが、断定は出来ないが、現在の設備では、災害時には飲めない。基礎工事、配管工事、電気工事、運搬、旧措置の廃棄、全ての見積りを求められたが、装置関連に絞って欲しいと要望した。役所の仕事は書類が大変である。当初は2箇所の話だったが、8箇所に広がった。2箇所であれば、宣伝を兼ねて破格の価格を提出したが、予算次第だが、全部となると困ってしまう。本音は順番に、数年掛けて小出しの仕事をしたい。 銀行に融資の準備も相談している。銀行も、水ビジネスは成長する分野と言うことで、快く期待に応えてくれている。銀行が応援してくれるなら、大型装置も販売したい。大型装置の仕事は資金の動きが鈍いので避けてきたが、銀行が付けば、受注の話にも乗る。 病院関係者から相談を受け、カルシウムイオンを除去する専用機を軟水器と膜を組み合わせた装置を造った。エコキュート向けの商品にしたい。 最近、部材や部品の価格が高騰していて、長期の見積りが出せない。12月迄は販売価格を据え置くが、新年からボツボツ安売りの川手は卒業する。最近、純水の仕事が注目されだして各社は忙しい。他社は強気で値引かないので、我々に流れてくるが、安売りは止める。 週一度、新浦安のクリニックに通院しているが、来週から新しい透析クリニックに代わる。新浦安のクリニックは不思議と患者が増えない。それに、曜日を統合されたので、変更した。最近の病院は採算重視で、コスト、コストである。新しいクリニックは事前に調査していたが、いつも満員状態だ。院内は活気に溢れて逆に腰が引ける。病院の感覚がしない。私は透析より集客の違いに興味がある。前のクリニックの担当者が、患者を増やしたいのでと相談を受けたが、患者の関心事は水である。都会の患者はインターネットで、透析情報を得て、病院の優劣を知るので、情報で決まる事もある。新しいクリニックの職員は、多分マニアル化された行動と思うが、水の話を全面的に出して病院の差別化を宣伝する。私も15年近く、純水装置の製造の仕事をしているが、疑われている。素性の知れない三流の水の業者と思われているようだ。EDIの超純水装置のメーカーの代表には見えないし、うるさい老人が来たと思われているようだ。黙って説明を聞くと、色々、参考になる。少し質問すると、事務長が来て、透析に使うRO装置の概要を説明してくれた。推測では、時間1トンの装置らしい。モジュールの本数を尋ねると計6本だと言う。フィルターの価格は1本50万円。少し高いので、8インチのモジュールの値段と思ったが、取水量の計算が合わない。設備を見るように奨められたので確認して見ると、4インチのモジュールが6本付いていた。 (他社の価格を批判する気はないが、私の販売価格は安過ぎる。安く売る姿勢は自信がない証拠だし、恥ずかしい。大手企業から純水装置の調査が増えているが、少し前は当社の技術が評価されたと喜んで対応していたが、安いので、疑っての調査だった。製品を見てから同じ性能だと驚くが、猛一段と値切ってくる。零細企業だし、仕事が欲しいので、安売りに乗ると誤解している。) それから、最後にUF膜が二本あった。この膜は高いでしょうと聞くと、1本で100万円と言う。学園病院でも80万円はする。1年に1回は必ず交換するので消耗品だけで200万円もする。このコストは日本のみの世界である。私の装置を購入した人が、世間の膜の標準価格を知って欲しいと思う。しかし、逆に当社のMF,UF,NF、RO膜の価格を比較し、まがい物と疑ってしまうかも知れない。日本は横並びの世界だし、医療界は高額でも不信感は持たない。それに補助金の世界だし、影響はないようだ。 説明を聞くと、透析液を作るのに、純度を上げたいらしい。専用のパウダーを溶かすのには、純度の高いRO水が必要だと強調する。RO水は高純度の水ではないので、私は学園病院に、患者の立場からROの純度を上げる提案をした。病院関係者が、RO水が高純度の水と思っている盲信を改めて欲しかった。純度を考えれば非抵抗値で5MΩ程度の純水が適当になる。UF膜も同様で0.01μの穴系を使い菌の流入を防止しているが、1本100万円もするのなら、私なら、3億分の精度があるNF膜を使う。ROで取れないイオン物質も除去でき、UF膜と比較しても、段違いの高水準である。菌もウイルスも通らない。最後にUF膜を使う方式は、超純水の技術の転用だ。UF膜の前に通常だと脱気膜と紫外線を使い、水中のメタノールを分解させて、合わせて菌やウイルスを殺す。死した死骸を膜で捕捉するのに使うが、紫外線装置は桁外れに高いので、導入出来ないが、NF膜がお勧めである。EDI装置を使って純度を上げる事も提案したが、納入メーカーは一斉に純度が高過ぎて、前例がないと口を揃えて猛反対した。純度が高い実積が医療に導入されると大変な事になるし、技術が追いつかない。見積もりを参考に取らせるとメーカー側の技術者がいないので、見積りも取れないらしい。5MΩぐらいの純度であれば、パウダーを効率良く混ぜられるし、混ぜた瞬間に純度は大幅に低下するので、何ら、高純度の水の支障は起きない。 膜技術は有望だし、私はここ4年間、頑として、装置を安く提供し、普及させてきたが、低価格過ぎた販売を反省している。安売り企業は、医療界に参入出来ないが、発想を替えて病院が膜の浄水機をつくる位の改革を進めないと改革は出来ない。薬価が見直される時代に、何故、純水設備の価格と維持コストを見直せないのか不思議な世界である。病院関係者は、何故かコストの事を知らないし、選択の余地がない。それに値段が高いと言う事が普通なのだ。参考までに、透析の医療費は国から一人当たり、年間500万円支払われている。病院では一人の看護士が6人ほどの患者を担当している。と言うことは、合計で3000千万円を一人が担当する勘定になる。しかし、医者も削減されて、問診の時間は20秒そこそこで挨拶程度である。医療費の切り下げで被害を受けるのは、弱者、つまり、患者なのだ。 韓国の友人が、膜ろ過浄水装置の製造工場を、新たにソウルに作る。この会社とは膜を共同開発しているが、膜原料の販売だけでは面白くないので、プラントに参入したいのだ。現在、膜の製造工程で使用する水の大型装置と製造技術の移転を打診されている。コピーする気だ。私も20年前にRO技術を習得する為に、アメリカに会社を設立したが、当初は、物真似で製品改良しながら猛勉強した。相手は資本家であるが、何れ提携会社も出て覚える事だし、相手が希望するのであれば、こちらから技術を教えて本格的に業務提携することも考えている。つくばでのんびり、趣味を兼ねて生活するのも、贅沢だが、膜も共同で開発した好みもあるので、企業らしく形を整えることも検討中である。海外向けで、中国、インドネシアなどの大型膜装置はここを拠点にしたいとも思う。 今月にも大阪のポンプメーカーとインドネシア向け浄水機の輸出と製作の話し合いを再度するが、このプロジェクトは生産量が背景にあるので、コストをお互いの努力で下げたいと思う。この地域はシンガポールの企業が押さえているが、購入して性能を調べたが、我々と同等だったし、コストも安くはなかったので、競争力はあると思う。 大田区の半導体装置メーカーと韓国での協力会社の新規事業の技術移転の機種は、時間2トンクラスを考えている。手始めに、オリジナルの制御基盤の開発から始める。ベース技術は完成しているので、時間はかからないと思う。 水のビジネスは幅広く、次世代のビジネスに成長が期待されているが、私も年だから、色々提携を含めて考えている。私は、『草の根の有志を集めて、NPOを活用して、水の仕事を広める案』、『水野を韓国の会社の役員に就任させて大きく、展開する案』、『日本での生産拠点を大田区にする案』。私は水の世界で膜の技術は有望製品になると、確信して来たので、新しい転機を生かして行く。台東区の災害用の装置が採用されれば、膜専用の浄水機が公式にデビューする事になる。砂濾過装置が見直されて新しいろ過装置の転機になるだろう。従来の砂濾過装置と塩素でろ過する方式では、飲料水の50項目の基準は満たせないので、区の担当者は、全て膜装置に変えたい意向だ。世界の浄化法に大幅に膜が採用されているが、殆んどが、日本製である。しかし、本家の日本ではまだまだ遅れている。数年後は、全て膜を使った膜ろ過高度処理の全盛期が来るであろう。切り替えには日本人の意識が必要になるが、早期に意識の転機を期待している。 |